闘牛はスペインの国技とされていて、最上級の闘牛士の事を「マタドール」と呼びます。
今ではスペインだけではなく、世界各地で人々を楽しませるショーとなっています。
皆さんは闘牛士と言えば何を思い浮かべるでしょうか?
多くの人は「赤い布に興奮して突進してくる闘牛を、闘牛士が華麗にかわす」イメージではないでしょうか?
しかし、闘牛は赤い布に興奮している訳ではないんです。
そこで今回は、闘牛になぜ赤い布が使用されているのか、なぜ闘牛は突進するのかという事について紹介します。
闘牛は「赤い布」で興奮していない
人間は「赤」=「挑発的な色、興奮を誘う色」と言ったイメージがありますが、そもそも牛は色を識別できていないんです。
そのため、布が何色であっても関係ないんです。
ではなぜ、闘牛は突進してくるのでしょうか?
その理由は、牛は動くモノに危険を察知するため、その動いているモノに向かって突進してくるのです。
闘牛士は布をヒラヒラと動かす事で、闘牛士に危険を感じさせて突進させているんです。
なので、テレビ番組などで素人が闘牛をやって上手くかわせずに逃げ惑うと、闘牛が止まらずに人に向かって突進してくるのは、このような本能が働くためです。
ちなみに赤い布でなくても、闘牛を誘導できる証拠として、最上級の闘牛士「マタドール」は「ムレータ」と呼ばれる赤い布で闘牛を操りますが、カポーテと呼ばれるマタドールの下の位の闘牛士は、入場時に着用する表がピンクで裏がイエローのケープで闘牛を操ります。
なぜ基本的に赤い布を使うのか?
上記のような理由がわかると「なぜ赤いにこだわるのだろうか?」と疑問が出てきます。
その理由は、大きく2つあると言われています。
1つ目は「観客を視覚的に煽るため」だと言われています。
上記にも書いたように、人間には赤い色は興奮を誘うようなイメージが強いため、闘牛と闘牛士の戦いをより刺激的な物に演習する役目があるそうです。
2つ目は、出血しても赤い布を使う事であまり目立たなくさせるためです。
闘牛士は場合によって、牛を剣で刺すことがあるので、その牛の血痕を隠す意味があります。
あまりにも出血が目立つ闘牛は、見ている側も痛々しく感じてしまうので観てられなくなるかもしれませんので。
ちなみ、牛に出血させない闘牛士ほど「一流の闘牛士」と言われています。
まとめ
このように、多くの人のイメージする「闘牛の赤い布」は全く違う意味で使われているのです。
牛を興奮させるための色だと思っていたら、人を興奮させるための演習だったなんて驚きです。
本場スペインでは、上記で紹介したマタドールの下位であるカポーテのショーも見る事ができますので、スペインを訪れた際には「赤い布でない布」を使って闘牛しているショーも観戦してみてはいかがでしょうか?