テレビのニュースを見ていると、海外にいる日本人のことを、たまに邦人と報道していますよね。
なぜ、日本人なのに邦人って呼ぶのでしょうか。
日本人で統一したらダメなのか、そんな身近な疑問を見ていきましょう。
海外の日本人を邦人っていうのはなぜか
そもそも邦人の「邦」を辞書で調べてみると、『自国。日本の』を意味します。
ということは「邦人」は自分の国の人、転じて日本人、という意味です。
一般的には海外にいる日本人のことを表す際に邦人が用いられます。
しかし、ニュースでは海外にいるにもかかわらず「日本人」と「邦人」の二通りの表現がされています。
ニュースでの使い分け
ニュースでは海外にいる日本人のことを邦人とは言わず、日本人と言う場合もありますよね。
例えば、「海外で活躍する日本人サッカー選手がハットトリックを決めました!」または「アメリカで暮らす日本人俳優がアカデミー賞を受賞」などは、日本人が使われます。
これらは明るい内容であり、邦人と伝えると、お堅いイメージになってしまいます。
海外にいても明るいポジティブなニュースであれば、邦人とは伝えずに日本人と紹介するのです。
逆に、ネガティブなニュースの場合は邦人を使います。
2016年7月1日にバングラデシュ国内で起きた襲撃テロ事件では、7名の日本人が犠牲になりました。
この時の報道では日本人ではなく邦人という言葉が使われました。
たまに、ネガティブな報道でも日本人と伝える場合もあり、その線引きは少し曖昧です。
基本的にはポジの内容が日本人、ネガが邦人と覚えていてよいでしょう。
もう一つ日本人と邦人の使い分けがあります。
統計上での使い分け
海外で過ごす滞在期間の長さによって、日本人か邦人かの呼び名が変わります。
3ヶ月未満の短期間だけ滞在している場合は「日本人」と言い、3ヶ月以上在留している場合は「邦人」が使われます。
滞在期間が短ければ移動が多く特定地点における実数把握が難しいため、3ヶ月未満の短い滞在は邦人としてはカウントしません。
一方、3ヶ月以上の在留者は邦人と言ったり、在留邦人と言ったりします。
在留邦人はさらに分類され、永住者(住んでいる国から永住資格を得ている人)と長期滞在者(永住者以外の人)の二通りに分けられます。
上記では統計について触れたので、海外に住んでいる邦人について見ていきましょう。
名称は在留邦人とします。
海外にはどれくらいの在留邦人が住んでいるの?
外務省の平成27年10月1日現在の集計によると、在留邦人の総数は131万7,038人。
内、長期滞在者は85万9,994人と在留邦人全体の65%を占めています。
永住者は45万7,084人です。
国別でみると、最も人気なのがアメリカで41万9,610人。
在留邦人全体の約32%です。
アメリカは移民の国でもあり、それぞれの国から人が集まってきています。
アメリカ西海岸のロサンゼルスでは一年を通して気候がよく、治安も安定しているので日本からの留学生が多いことで有名です。
ロサンゼルスと言えば、映画で有名なハリウッド、高級住宅街のビバリーヒルズなど見どころがたくさんあり、本土のアメリカ人からも人気を得ています。
在留邦人がアメリカについで2位の国は、中国で13万1,161人。
在留邦人全体の約10%を占めています。
中国最大の都市である上海は、日本から近いので気軽に行くことができますね。
なお、日本人や邦人と言われるためには日本国籍を有している必要があります。
日本で生まれても日本国籍を放棄し、外国の国籍を有したら、日系人という位置づけになります。
まとめ
『海外にいる日本人のことを「邦人」と言うのはなぜか?』それは、報道でニュースを伝えたときの視聴者の印象を考慮しているため。
そしてもう一つが、統計上、使い分けたほうが正確な数値を把握できるためです。
海外に行った際には自分が今、日本人なのか邦人なのか考えてみると面白いかもしれませんね。