お墓の入り口や村や町の中に、ひっそりと佇んでいるお地蔵さんを見かけたことはありませんか。
その多くがよだれかけを着けていて、優しい表情で笑っていますね。
でも、なんでお地蔵さんはよだれかけを着けているのでしょうか?
今回はその意味について知ってみましょう。
お地蔵さんのよだれかけの意味
お地蔵さんは子どもを守る担当として、人々から信仰されています。
よだれかけを着けている意味は、自分の子どもが元気に育つようにと、人々が願いを込めて奉納しているからです。
お地蔵さんは書いて字の如く「大地を蔵する力」と書き、万物を産み出すパワーを持っています。
また、仏教の世界では、母親が子どもを妊娠する能力そのものに、お地蔵さんの力があるのだとされています。
妊娠ってよく考えてみるとすごい力なのです。
母親は自分のお腹の中で、赤ちゃんに栄養を与えていますよね。
赤ちゃんとの血液型が違っても、胎盤を通せば血が凝結することなく、栄養を送ってあげられるのです。
私たちが輸血をする場合は、必ず同じ血液型でなければならないのですから、妊娠の母と子の力は不思議であります。
母親が子どもを守るように、お地蔵さんも不思議な力で優しく子どもを守ってくれているのでしょう。
さてさて、よだれかけの意味は、子どもの成長を願って着けていることが分かりました。
でも、子どもが早くに死んでしまう場合もありますよね。
成長できずに死んでしまった子どもは、どうなるのでしょうか?
お地蔵さんは死んでしまった子どもを助けてくれる
早くに死んでしまった子どもを見守る担当も、お地蔵さんが兼ねています。
一説によると、子どもが死ぬと三途のほとりにある賽の河原へ行くそうです。
賽の河原は地獄の入り口でもあり、ときどき鬼がやってきます。
どうして子どもが早くに死ぬと、地獄の入り口へ行ってしまうのでしょうか。
それは、親よりも先に死ぬのは親不孝であるので地獄の入り口へ行ってしまうのです。
子どもは賽の河原で「父、恋し、母、恋し」と小石を積んでいきます。
父と母を想いながら小石を積むのはなんとも健気ですね。
ところが、鬼が出てきて、せっかく積んだ小石を蹴散らしながら子どもを追いかけまわすのです。
その時にお地蔵さんが現れ、鬼の前に立ちはだかり、子どもを袖の陰にかくまってくれます。
お地蔵さんは子どもを助けてあげるだけで、鬼を倒したりはしません。
これはなぜかと言うと、鬼の存在が心を活発にさせてくれるからです。
現実世界でも、鬼のような人がいるから成り立っているところもあるでしょう。
『心が活発であること』これが、お地蔵さんにとって一番の願いなのです。
たしかに、心が活発であれば表情も生まれますし、楽しい気分も味わいやすくなりますね。
その代わり鬼から散々な目に遭わされることもあるでしょう。
でも、無表情で魂の抜け殻のように過ごすよりは、よっぽどマシなように思います。
まとめ
○お地蔵さんは子どもを守る担当
○よだれかけの意味は子どもの成長を願ったもの
○賽の河原ではお地蔵さんが子どもを鬼から守ってくれる
最後になりますが、お地蔵さんのお話は民間信仰による俗説です。
死後の世界はこの世の人は誰一人と経験していないので、確かなことは言えません。
でも、お地蔵さんを通して自分の知らない死後の世界などを想像してみると、今の世界で悪いことはできないなと新鮮な気持ちで過ごせますね。