一年の終わりに蕎麦を食べる習慣は古くは江戸現代からと言われ、現代では手打ちの蕎麦だけでなくカップ麺の蕎麦を大晦日に用意する人も多くなっています。
それだけ当たり前になっている年越しそばですが、由来をたどると願いをこめた食べ方があることがわかります。
年越しそばの由来と食べ方をご紹介します。
年越しそばの由来は健康への願い説
年越しそばの由来は諸説ありますが、1814年の大坂繁花風土記の一節に「晦日そばとて、皆々そば切をくろふ。当月節分、年越蕎麦とて食す。」という言葉があります。
簡単に言うと大晦日と節分には皆そばを食べる。ということなので、この時代には既に大晦日に蕎麦を食べる習慣があったことになります。
蕎麦を大晦日に食べる習慣は江戸時代中期まで遡ることができ、その時代には「江戸患い」と呼ばれる脚気が大流行していました。
脚気はビタミン不足による疾患で、江戸時代では精米された米を食べていた上層武士に多く発生して地方に広がり、町民の間でも流行りました。
蕎麦にはビタミンB1が含まれているため摂取により症状が良くなることがわかっていたため漢方としても扱われていたようです。
また、蕎麦は細くて長いことから延命、長寿の縁起をかついだという説や、ソバが雨風にふかれても晴天になれば元気になるように健康を願ったことが由来という説もあります。
年越しそばは借金を翌年に持ち越さない願い説
年越しそばは「借銭切りそば」「勘定そば」など借金やお金にまつわる呼ばれ方もあります。
昔金銀細工師が年末の最後の仕事を終えるとムシロの上で蕎麦でモチを作り、そのモチにくっつけて金粉を集めたために「蕎麦は金を集める」縁起の良いものとされたようです。
そして、蕎麦は切れやすいため苦労や災いを切り捨てるという縁起物でもあります。
一年中の借金を切り捨て、借金での苦労を年内に打ち切るというるという願いで「借銭切りそば」と呼ばれたのが由来という説です。
江戸時代は今と違い物を買うときに「掛け売り」という方法がありました。
店から信用されていればほとんどの人がツケておいて年末にまとめて支払うため年末の取立ては厳しく、新年が明ければ返済期限が半年延びるために年内で借金の苦労を切り捨てたいという願いにつながったようです。
また、金銀細工師が年末に金粉を集めたことから年末の借金取立てを連想させることが由来という説もあります。
年内に食べきらないと厄が翌年に続いてしまいますので、新年にもちこさないようにしましょう。
まとめ
年越しそばには人々の願いがつまった由来が沢山あります。
・年越しそばには健康と延命長寿の願いがこめられている。
・「借銭切りそば」「勘定そば」という呼び方は金運祈願。
・食べるタイミングは年をまたがないようにする。
一年の最後に食べる年越しそばは味だけでなく、意味も大切にすることで良い新年が迎えられます。