関東地方ではあまり馴染みがなく、そもそも読み方もわからない言葉、十日戎とはいったい何のことでしょうか?
この十日戎、関西では当たり前の言葉なんです!
読み方や意味、キーワードとなる戎について、十日戎についてまとめました。
十日戎とは?
十日戎の読み方は「とおかえびす」で、この戎の意味は七福神の1人である恵比寿様のことです。
夷、戎、胡、蛭子、蝦夷、恵比須、恵美須はどれも恵比寿様のことで、読み方は全て「えびす」です。
恵比寿様は七福神の中で唯一日本生まれの神様で、大きな福耳、釣竿、鯛を持った姿で描かれます。
釣竿や鯛を持っている姿の意味は、平安時代に恵比寿様が漁師達が大漁や漁の安全を願う神様として信仰が広まったことにあります。
鎌倉時代になると商業の神様として広まり、関西では「えべっさん」と親しみをこめて呼ばれる神様となっています。
十日戎とは関西や恵比寿様を祀る地方で行われる1月10日前後に商売繁盛や家内安全を願うイベントです。
十日戎で有名なイベントは兵庫県の西宮神社で行われる「福男(十日戎開門神事福男選び)」があります。
福男は開門と同時に大勢の男性が走り出し、230m先の本殿に到着した順番が1~3番目までの人をその年の福男と定めるイベントです。
女性も参加することができ、3位以内にゴールできれば福女になるそうです。
福男や福女になるとその年の福が自分に集まるとされているため、毎年多くの人が参加します。
また、大阪今宮戎神社の十日戎ではお正月に本殿前で投げるお賽銭で大金が飛び交うことが有名ですが、賽銭箱に入り損ねたお賽銭を拾ってしまうとバチが当るとされています。
近年ではマグロを奉納する神社などもあり、有名なものだけでなく、地方によって様々なイベントが展開されています。
商売繁盛で笹もってこい
これまた関東に住んでいる方には謎のキーワード「商売繁盛で笹もってこい」も十日戎でかかせない言葉です。
十日戎では福笹という縁起物が「商売繁盛で笹もってこい」という掛け声で販売されています。
また、境内でお囃子として聞く言葉でもあり、ただ単調に言うものではなく基本的に4分の4拍子のリズムに乗って繰り返されるので印象的です。
「笹もってきたら商売繁盛させたる」「繁盛したら来年も笹持ってお参りにきてね」という意味があるだけでなく、江戸時代に笹を酒の別名で使っていたため「商売繁盛したからお酒もってこい」という恵比寿様の言葉とも言われています。
商売繁盛で笹もってこいに続く歌詞は年の初めのえべっさんや、地名を入れて○○のえべっさんここだっせなど、神社によって違いがあります。
福笹には山の幸、野の幸、海の幸の小宝などが付いており、商売繁盛や家内安全に効果があると言われています。
縁起物に笹を使う意味は、恵比寿様の持っている釣竿のようだからというだけでなく、竹がまっすぐ伸びる姿に商売の発展を願う意味もあるようです。
飾るときには神棚や、高い位置、綺麗な場所に南向きもしくは東向きに置くようにしましょう。
まとめ
十日戎とは関西各地でイベントが行われる生活の一部です。
その賑わいは関東の正月イベントとは一味違う雰囲気があり、商売繁盛を願う方法も地域性が現れています。
ダイナミックなイベントや商売繁盛で笹もってこいは一度聞いたら忘れられないフレーズですので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
・十日戎とは1月10日付近で恵比寿様に商売繁盛を願うイベント
・読み方は「とおかえびす」
・縁起物の福笹を飾る