孫の手というものがあります。
木製の背中を掻く道具で、四十肩などで肩が上がらなくなった時によく使われます。
孫に掻いてもらっているような気分といったものが由来だと思っている方も多いようですが、残念ながら違います。
本当の由来をお伝えします。
孫の手の由来
中国の神話に登場する麻姑(まこ)と呼ばれる仙女の指に由来をします。
この麻姑の指は鳥のように長く、「背中を掻いてもらったら気持ちがいいだろうな」と蔡経という男が思ったという逸話に由来をしています。
この孫の手が生まれたのは中国で、日本には1500年頃に伝わりました。
当初は麻姑の手と呼ばれていましたが、次第にまこという音と小さな手のような形が孫を連想させ、「孫の手」となりました。
この孫の手は誰が作ったのかなどの詳しい歴史は伝わっていませんが、世界各国に同じようなものがあり、英語ではバックスクラッチャーと呼びます。
孫の手の種類
日本製は木や竹で出来たものが多いですが、中国からの輸入品も多くあるようです。
伸縮自在の製品の他に、金属製で出来ているものもあり、金属製は500円以上します。
日本国内で入手出来る孫の手で1番効果だと思われるのが、ケヤキで作られたもので4000円以上します。
材質が高級木材なだけで形は市販されている孫の手とさほど変わりません。
世界に幅を広げてみると、アメリカでは乾燥させたとうもろこしの芯に棒を挿したものが発売されているようです。
歴史上の孫の手に目を向けてみると、象牙で作ったものがあります。
他にも銀や宝石などで装飾を施されたものもあると言います。
これは17世紀から18世紀のヨーロッパ貴族の間で使われたものです。
携帯用では体を掻く部分と棒の部分を取り外しが出来、体を掻く時に体を掻く部分をつけたようです。
この時代のヨーロッパは入浴の習慣や毎日、下着を取り換える習慣がなかったので、体の痒みは現代人より感じていたかもしれません。
まとめ
孫の手の由来は孫ではなく、中国の神話に登場する麻姑(まこ)という仙女です。
この麻姑の指の爪が長く、「この爪で背中を掻いたら気持ちがいいだろうな」と蔡経という男が思ったことに由来します。
残念なことに、蔡経は思っただけで、仙人から不届き者扱いされ、鞭で打たれたり、目から血を流しながら、倒れたりと散々な目に遭ってしまいます。
安価な製品が多く市販されてはいますが、ケヤキなどで作った高価な製品も少なからずありますし、世界中に似たようなものがあります。
どれを使っても仙人の怒りを買うことはないので、背中を安心して掻いて下さい。