民族や宗教によっては食べたら駄目だとされている動物などが存在します。
豚肉を食べることは、イスラム教の聖典であるクルアーンで禁止すると、繰り返し述べられていますが、その理由までは明確になっていません。
そこで、当時のアラブ人の生活などから3つの理由を上げて、イスラム教徒がもし豚肉を食べたらどうなるかも含めて述べていきます。
イスラム教にあわない豚の不労と快楽主義
豚肉には様々な病原菌がいて、かなり暑い中東においては、豚肉を食べたら多くの感染症を発症する危険性が高いことが上げられます。
特に生肉やあまり火が通っていない料理を食べたら、病気にかかる危険性が高くなります。
牛のように農耕などで働いてくれることもなく、ラクダのように運搬で働いてくれることもない豚は、食用以外に飼育する理由がありません。
そして、豚は雑食性で人が食べる食べ物は何でも食べますし、飲み物も多量に飲みます。
繁殖力は旺盛で、一年を通して交尾や出産を繰り返していて、一気に数を増やしていくので、遊牧民にとって飼育することは困難な家畜であるということも、理由として上げられます。
しかも、豚の旺盛な繁殖力は働かないのに快楽主義的に映り、神の前で禁欲主義を貫いていくイスラム教にとって向かないという判断があったといわれています。
古代のエジプトでは豚を飼育していましたが、怠惰で太っている様子から、身分が低い賎民が飼育する家畜とされていました。
イスラム教は古代のエジプトに強く影響されていたので、古代エジプトの豚に対する認識が豚を低俗な家畜と見なし、豚を食べて体内に入れることで、低俗な肉を取り込むことを禁じたと考えられます。
このような理由が重なって、イスラム教の聖典で禁止項目に上げたのだと推測されます。
もし豚肉を食べたらどうなるか
イスラム教徒が豚肉を食べないのは宗教的な戒律ですから、食べたとしても神様以外から罰せられることはありません。
ただ、信仰している神様が食べては駄目だとしている食べ物ですから、地獄に堕ちたくないのでイスラム教徒としては食べる気持ちにはならないでしょう。
しかし、それでも入っていることを知らなかったり、間違って食べてしまうこともあります。
そのような場合についてクルアーンでは、間違って食べてしまったり、止む終えない場合は食べても仕方がないとして許されています。
まとめ
近年、異民族が異文化で共存することが増えてきました。
日本の食品がイスラム教国家に食品を輸出することもありますし、イスラム教国家から生産した食品を、他の国に輸出することもあります。
昔とは違って、知らないで豚肉を使用した料理に触れる機会が増えてきていることも現実です。
そのような事情から、イスラム教徒が食べられる食品であることを宣言できるハラール認定が現れています。
上場企業でもハラール認証を受けたことで株価が上昇した企業もあり、これからは豚肉が入っていないと宣言することが、イスラム教徒をビジネスに取り込む要素になる時代が訪れています。