6月になると大手企業の株主総会が次々開催されます。
株主総会では通例としてちょっとしたお土産が配られますが、このお土産を廃止する企業が増えているそうです。
それは一体どうしてなのでしょうか。
楽しみにする人も多い株主総会のお土産
株主総会は、一単元以上の株を持った株主であれば議決権を所有しているので、事前に招待状が届きます。
株主総会では、定款の変更や取締役・監査役の選任、会社の解散や合併など、重要事項が株主によって決定されるため、株主は会社の経営に参加することができますが、それだけでなく、自社製品や割引券、人気菓子店のお菓子など、いろいろなお土産が配られます。
特に個人株主にとっては、そのお土産が楽しみの一つにもなっているようです。
実際株主総会に出席した個人株主に、株主総会に出席した目的を聞いたところ、「会社の状況を知りたい」「経営者の考えが知りたい」についで多かった答えが、「お土産が欲しい」というものでした。
お土産を廃止した企業の言い分
お土産を廃止した企業の言い分として最も多いのは、「株主総会に出席した株主と、出席しなかった株主の間に差が生じる」というものです。
確かに、地方などに住んでいれば出席は難しく、仕事で出席できない人もいることを考えると、もっともな回答です。
しかし実際には、株主総会に大勢の株主が出席することで、その人数を収容できる会場を押さえるための経費が膨らんでしまうことが大きな理由のようです。
これからの予想
個人株主の獲得は、企業にとっては資本金の増大だけでなく、会社の経営方針に素直に従ってくれる株主の獲得という点でも大きな意味があります。
消費者でもある個人株主は企業の応援者にもなってくれることを考えるとなおさらです。
株主総会はそんな個人株主にアピールする絶好のチャンスであり、そこで配られるお土産も意義のあるものと言えます。
しかし2016年、大日本印刷や新日鉄住金、明治ホールディングスなどが、総会でお土産を配ることを廃止し、お土産を廃止する企業の数は、前年と比べ70%も増えています。
全体からみると、まだまだお土産を配る企業が多いとはいえ、このように大手の企業が次々お土産を廃止していることを考えると、この流れは今後広がると考えられます。
お土産廃止後、株主総会の出席者数が8割以上もダウンした企業もありますが、その分、株主総会の出欠席に関係なく受けられる株主優待を充実させるなど、株主への待遇の内容も変化しているようです。