三線と三味線の違いと歴史を解説


三線と三味線は3本の弦を使って奏でる伝統の楽器です。

一見似ているように見えますが、並べてみると音も見た目も、使っている素材も違う楽器なのです。

三線と三味線の違いを歴史とともにまとめました。

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三味線は三線が元にできた楽器だった!

三線や三味線はギターや琵琶のと同じ、リュート属の楽器です。

歴史を遡ると、中国泰代に現れたリュート属の楽器が奚琴となり、それが中東、イランと渡りながら変化し、中国に入って発展したことで三味線や三線の元になる三弦が生まれたのです。

そして三弦は中国との貿易が盛んだった琉球王国で発展し、三線になりました。

三線は琉球舞踊で使う琉球古典音楽として宮中で使用されるほか、士族や農民が歌う奄美民謡や沖縄民謡の伴奏でも使われていました。

呼び方は地方の方言によって変わりますが、現在では「さんしん」と呼ばれることが多いようです。

三線の歴史は琉球音楽と共に発展したばかりでなく、裕福な士族が高価な三線を床の間に飾る文化もありました。

やがて三線が本土に伝わると素材や演奏法も変わり、三味線へと変化したのです。

三味線は本土で発展し、音楽だけでなく語りの合いの手に使われるなど独自の歴史を作りました。

現在では津軽三味線、長唄、民謡三味線・地唄三味線・小唄三味線など用途によっても三味線の使い分けが行われています。

三線も南風原型、知念大工型、久場春殿型、久場の骨型、真壁型、平仲知念型、与那城型があり、ルーツは同じ楽器ですがそれぞれ違う歴史を辿り発展し、現在では違う楽器として扱われています。

こんなに違う三線と三味線

三線のパーツは沖縄で取れる材料から作られていたため、本土に渡るとその材料はより入手しやすいものへ変わりました。

三線の軸となる棹(ソー)は黒木(クルチ)やカリン、ゆし木、紫檀、縞黒檀でできていますが、三味線ではカリン、紫壇など同じ素材も使いますがケヤキや紅木なども使用されています。

見た目で一番わかりやすいのは銅の部分で、三線は蛇皮でできているため黒っぽく斑模様が入ってツヤがありますが三味線はネコの皮か犬の皮を使用するため白色です。

また素材が違うだけではなく江戸時代に音の改良も行っており、三線に琵琶のような重厚感や表現力を加えるため変わった部分もあります。

三線と三味線はバチの形も違い、三線では人差し指にはめる角のような形のもの、三味線は角ばったシャモジのような形をしており大きさは女性の顔と同じくらいあります。

バチの素材も三線は水牛の角などから作られ、三味線はベッコウや象牙などで作るといった違いがあります。

また、三味線には「さわり」と呼ばれる機構がついていて弦が触れるとビョーンというノイズを作りだすのですが、三線にはさわりがありません。

形も似ているようで、三味線の方が大きくできています。

三線は弦を弾くシンプルな音ですが、素材や形、大きさが変わった三味線ではベンベンという渋い音になります。

まとめ

三線と三味線の違いは歴史を紐解くことでわかります。

・琉球時代に中国から伝わった三弦が沖縄で三線になり、三線が本土に伝わり三味線になった。
・三線と三味線は材料、大きさ、パーツなど楽器自体に様々な違いがある。
・お互い独自の文化を辿ったため、用途が異なる。

日本の伝統音楽で三味線がかかせないのと同じく、沖縄音楽には三線がかかせません。

どちらもルーツは同じですが、その歴史のなかで培った音色はそれぞれの文化に溶け込んで掛け替えのないものです。

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