敷居というものがあります。
引き戸を立てるために、溝が彫られてあり、床に埋め込まれている横木のことです。
部屋と部屋、もしくは部屋と廊下、家の外と内を隔てるこの敷居には、敷居が高いという言葉があります。
敷居が床などに埋め込まれた横木と知った後にこの言葉を聞くと、なんだか変な気がしますが、昨今、若い世代で新しい意味で使われていると言います。
由来と使い方についてご紹介します。
「敷居が高い」の由来とは?
本来は不義理をしてしまったり、過去に恥ずかしいことがあったりして、申し訳ない気持ちや恥ずかしさから、相手に顔を合わせるのが気まずいといったことを意味する言葉です。
相手に顔を合わせ辛くて、玄関の敷居をまたぎ辛いというのが由来です。
最近では、高級過ぎたり上品過ぎたりお堅過ぎたりして、自分の身分では行き辛い場所や近寄りがたい場所のことを指して、使う人もいます。
行き辛い場所というのは高級料理や一流レストランといったものを指します。
文化庁の統計では30代以下でこのような使い方をする方が多いそうです。
「敷居が高い」の使い方は?
不義理をしてしまったり、過去に恥ずかしいことがあったりして、申し訳なさや恥ずかしいという気持ちから、相手に顔を合わせ辛いという意味で使う場合は、
「長い間、ご挨拶の1つもしなかったので敷居が高い」
「過去に、色々と争ってしまったので、親戚といえども敷居が高い」
というような使い方をします。
高級過ぎたり上品過ぎたりお堅過ぎたりして、行き辛い場所という意味で使う場合は、
「あの店に行ってみたいが、高級店なので、とても敷居が高い」
「敷居が高過ぎて、私が泊まれるような宿ではない」
というような使い方をします。
「敷居が高い」の歴史
敷居が高いという言葉は戦前にはもうあったようです。
恥ずかしさから相手に会い辛いという由来が転じて、その後、近寄り辛いという意味になり、役所などに対して使われるようにもなりました。
それが、更に転じて高級過ぎたりしてお堅過ぎたりして行き辛いという意味も生まれましたが、細々と使われていたようです。
その後、高級な場所などに行き辛いという新たな意味が広まったのは1980年代です。
この時期の日本は経済成長を続け、バブル期へと続いて行く時代ですから、実際に一般庶民が行き辛い高級店がたくさん出来たのかもしれません。
最後に、本来の由来は相手に会い辛くて、敷居を超え辛いというものですが、時代が経ることに、新たな理由が付け足されていきました。
それだけ行き辛さを表現するのにはピッタリな言葉だったということでしょう。